〈産地情報〉 ゆで干し大根

■長崎県西海市へ
今回の訪問場所は、長崎県西海市(せいかいし)。
西海市は、長崎県の西彼杵(にしそのぎ)半島にあり、東は大村湾、北は佐世保湾、西は東シナ海に面して、海にぐるりと囲まれた街です。西海市で盛んに作られている「ゆで干し大根」の生産現場へお邪魔しました!
福岡での仕事の後、特急「かもめ」に。佐賀県鳥栖を経由して、約2時間で長崎に入りました。

 

■大根の下ごしらえ
寒空の下、収穫されたばかりの大根が積み上げられています。ゆで干し大根用の大根は、真冬の寒さでしっかりと甘みを蓄えた、地のものばかり。収穫後は葉を落とし、手作業で皮をむきます。

ゆで干し大根に使うのは、大蔵大根。いわゆる「切り干し大根」に使われるのは首の青い青首大根ですが、この大蔵大根は全体が真っ白な品種です。
皮をむいた後は機械を使ってカットします。

大蔵大根は、全体が真っ白。


このカット方法にゆで干し大根の特徴があります。
ひも状に細く、カットする切り干し大根と比べ、この太さ!
いろいろな具材となじみやすい切干しと比べ、大根の甘みと存在感を十分に味わえるゆで干し大根の特徴が生まれます。

長崎・ゆで干し大根 宮崎・切り干し大根

■大根を茹でる

ゆで干し大根の第二の特徴は、その名のとおり「茹でること」。
大きな網状の入れ物にカットした大根を入れ、熱湯で茹でます。
盛大な蒸気が、立ちのぼります!

■茹でた大根を干し場へ
さて、茹で終わると、いよいよ大根を干す作業にとりかかります。
大根が持ち運ばれた干し場は・・・海岸!?しかも、絶壁です。この絶壁に組まれたやぐらが、大根の干し場なのです。

崖上に通る道路沿い、ゆで干し大根干しのためのやぐらが並びます。

この通り、足元からは数十メートル下の海が・・・!

数十メートルの高さの絶壁に張り出したやぐら。やぐらの床は風が通るよう、網状になっています。こうすることで、絶壁を吹き上げる潮風が網目を通り、大根を乾燥させるのです。潮風で一気に干す、これが三つ目のゆで干し大根の特徴です。

■大根を干す

茹でた大根は手作業でやぐらの上に広げられます。
金属製の丈夫なやぐらとはいえ、強い潮風にさらされながらの作業。 高所恐怖症の人には目もくらむ仕事場ですが、さすが、プロの皆さんは淡々としておられます。一気に乾くよう、大根が出来るだけ重ならないように広げていきます。

海に張り出した側には柵がない!
気をつけて、気をつけて・・・。

私もやぐらにのせてもらいました。1歩踏み込めば、真下は海!目の下も海!少し腰がひけている?!この日は風が穏やかな方とか。
強風の日は、大根が足場でおどっているそうです。大根は茹でた後、すぐに干され、翌日には乾燥は終了します。雨が降ると質が落ちるため作業は行いません。天気予報とにらめっこの仕事です。

1昼夜干した後の大根です。これでひとまず乾燥は終了ですが、乾燥が不十分な物は最後に軽く熱風乾燥機にて仕上げ、袋詰めにまわります。ゆで干し大根作りはおよそ11月〜2月まで行われます。やぐらがならぶ絶壁は、西海市ならではの風景です。

■訪問を終えて
ゆで干し大根のおいしさは、食べた人が驚くほど。「大根ってこんなに甘かったの?」「切り干しとは違う食感!」このおいしさの秘密は、太さ・茹で・干しにあります。長崎県の特産品として知る人ぞ知る、ゆで干し大根。今回生産地にお邪魔して、甘い大根を育てる里の恵みと、おいしいゆで干し大根に仕立てる海の恵み、まさに長崎ならではのものだと実感しました。お土産だけでなく、普段のお食事にも、ぜひ召し上がってみて下さい。西海の皆さん、ありがとうございました!