〈産地情報〉 金ごま

金ごまの産地を訪ねて(三重県松阪市)

普段よく食べるゴマ。実はそのほとんどが輸入品であることをご存知でしょうか。
以前は、日本国内でも盛んに作られていたのですが、栽培に手間がかかることなどから、現在は、ほぼ100%を輸入に頼っています。しかも、輸入先の国はおよそ50カ国。つまり、日本人に愛されているゴマは、充分な量を供給するために、世界各国を東奔西走し、集めてられている状態なのです。しかし、少数ながら、日本の食卓に欠かせない美味しいゴマを自分たちの手で作ろうと頑張ってらっしゃる生産者がおられます。
今回は、そんな国産ゴマの産地である三重県松阪市を訪ねました。

 

■松阪市へ ■こだわりのゴマ作り  
残暑がまだ厳しい9月12日、三重県松阪市にある有限会社「田園」を経営される古御門(こみかど)さんのゴマ畑では、初夏から始まったゴマ作りの収穫が行われるところです。 古御門さんのゴマ作りへのこだわりはいたるところに見られます。
まず、ゴマを育てる環境。3年前に栽培をはじめて以来、一度も農薬は使用せず、自然のままで育てています。ゴマ自体、もともと丈夫な植物。「ゴマの丈夫さを生かしてやれば、防虫対策はいりません」。
もうひとつのこだわりは栽培するゴマは全て金ゴマであること。
ゴマには白ゴマ、黒ゴマなどの種類がありますが、中でも金ゴマは油分が多く、コクがあるのが特徴です。ゴマの中でもゴマらしい、おいしいゴマを作りたい。古御門さんのこだわりです。

■ゴマの栽培 ■ゴマの収穫
ゴマの種まき時期は、5月〜6月。種まきから40日ほどで薄いピンクの花をつけます。
ゴマの栽培で最も大変なのは、「草取り」と「間引き」。
ゴマに充分な栄養が行き届くよう、周りの草を抜いていきます。そして、成長の良いゴマの苗がより大きく育つよう、間引きをします。これらの作業は、全て手作業。収穫前の8月、暑さの中での大変な作業です。
種まきから100日ほどで収穫の時期を迎えます。
鮮やかな緑色だった茎が茶色に変わり始め、ゴマの種実を包んださやが下の方からはじけ出したら刈り取りの時期。
子供の背丈くらいまで育ったゴマを丁寧に刈り取ります。
この刈り取りも手作業で行います。

■ゴマの乾燥    
刈り取られたゴマは、乾燥させるためビニールハウスに運びます。
雨期と乾季がはっきりしている海外の地域と違い、日本はいつ雨が降るのかわかりません。乾燥時に雨で濡れるとゴマの品質が落ちるため、ビニールハウスを利用します。ハウス内の気温は40℃以上。均一に良い状態で乾燥できます。およそ10〜14日間、自然にさやが開くまで乾燥させます。
ゴマが落ちても良いように下にシートをひいておく。 充分乾燥させたゴマ。

■ゴマをとる    
ビニールハウスで乾燥させたゴマは手作業でふり落としていきます。ゴマの種実を包んださやは開いていますので、茎をもって叩いたり、プラスチックの棒なでどを使い、下のシートに落とします。
このやり方は、海外の地域でも行われている一般的なゴマの採取方法です。
下に落とされたゴマは、一度ザルでふるってゴミを取り除きます。1haで最大約1トン収穫できます。その後、ゴマはさらにゴミや汚れを除去するため別の加工場へと運ばれていきます。
こうして、古御門さんのゴマ作りは一段落。また、来年のゴマ栽培に向けて土作りが始まります。
「田園」のスタッフの皆さん。
訪問時には美味しいご飯も頂きました。
ごちそうさまでした!