〈産地情報〉 寒天
ダイエットや健康管理に、今話題の寒天。
今回は、この寒天の主要な生産地である長野県茅野市を訪ねました。
■こんにちは!! 長野県茅野市 |
■清流・宮川 |
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長野県のちょうど中央に位置する茅野市。「御柱祭(おんばしらさい)」で有名な諏訪大社や蓼科高原・八ヶ岳・霧が峰など日本を代表する自然を擁する美しい街です。 |
付近を流れる清流・宮川。ヤマメや川マスなど美しい水を好む魚が生息しています。ここ茅野市は、国内でトップシェアの寒天産地でもあるのです。 |
■寒天作りの工程
寒天は、次のような工程で作られます。
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水漬(原料の天草などを水に漬けます。) |
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洗浄(天草についている不純物を取り除きます。) |
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あく抜き(1〜2日水に漬けてあく抜きします。) |
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煮る(あく抜きした天草をよく煮ます。寒天質が溶け出ます。) |
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ろ過(溶かした寒天液をろ過します。) |
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凝固・切断(ろ過した液を型に入れて固めます。その後、棒状に切断します。) |
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乾燥(凍結と乾燥を繰り返し、棒寒天に仕上げます。) |
では、さっそく寒天作りの現場へお邪魔します!!
■寒天作りの現場 〜本当の「ところてん」ができるまで |
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寒天作りは、まず、原料の天草の水漬、洗浄から始まります。天草は、和歌山、千葉などの国内をはじめ、海外からもここ信州に運ばれてきます。写真奥は天草の洗浄用ドラム。大量の天草を丹念に洗浄します。 |
洗浄した寒天を煮溶かしていきます。寒天を作るのに使う水は、八ヶ岳、霧が峰からの地下水。美味しい水も、茅野の寒天つくりを支えます。 |
煮溶かして漉した寒天液を水色のバットに流し入れて固めます。
固まったら棒状に切り、水切りのよいよう、スノコに並べていきます。原液を固めると、こんな濃い色のものができるんですね。
これが本来の「ところてん」です。冷たく澄んだ信州の風のなかでの作業です。 |
■海が無いのに、なぜ寒天?
ご存知のように長野県は海の無い県。なぜ、海藻食品である寒天が盛んに作られるのでしょう?
信州で寒天の製造が始まったのは、1840年頃。それより200年ほど前から、京都・大阪など上方で寒天が作られていました。諏訪郡穴山村(現在の茅野市)の小林粂左衛門が、京都で作り方を習得し、持ち帰ったのが始まりと言われています。冬の寒さが厳しく、適度に乾燥し、昼夜の温度差が大きい信州は、寒天を作る条件を全てそなえた土地。伊豆でとれた天草を甲州街道をのぼり信州へと運び、そして、またたく間に寒天作りが根をおろしました。そして、次第に本場の関西をしのぎ、日本でもっとも寒天作りが盛んな土地となったのです。
■寒天つくりの現場 〜棒寒天ができるまで〜 |
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さて、出来上がった「ところてん」を今度は乾燥させて棒寒天に。
寒天作りの頃の茅野は、日中でも0度以下の真冬日が多く、夜中はなんとマイナス10度!ところてんに含まれた水分は、凍結と解凍、そして、蒸発を繰り返します。
こうして信州の寒風にさらすこと2週間。水分がすっかりと抜けて、寒天質だけが残った棒寒天が出来上がります。 |
寒天の下のわらは・・・?
乾燥中の寒天、よく見ると下にわらが敷き詰めてあります。
このわらは一体何のため?実は、寒天を乾燥する場所は田んぼの上。ここにわらを敷きめることによって、土やほこりが舞い上がることを防いでいるのです。
また、こうすることで足場がしっかりし、作業がしやすくなるというわけです。 |
約700gのところてんが、約8gの棒寒天に!寒天はまさに寒天質のかたまりなんですね。 |
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■寒天の本場 |
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すっかりと乾燥された棒寒天。
箱に並べてまとめられ、出荷されていきます。 |
寒天を作るのに必要なのは、天草と水。そして、凍るような厳しい寒さと適度な空気の乾燥具合です。霧が峰、八ヶ岳から流れる清らかな地下水と刺すような寒さ、澄んだ空気。信州は寒天を作るための条件をすべてを備えた、まさに「寒天の里」でした。 |
茅野の皆さん、ありがとうございました。
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